YouTubeやInstagramを開くと、プロ顔負けの超絶テクニックを披露しているギタリストが溢れています。あんな動画を見た後に、自分のたどたどしい演奏をアップするなんて、公開処刑を志願するようなものだと思っていませんか。
「もっと上手くなってから」「1曲完璧に弾けるようになってから」と、投稿を先送りにしているその気持ち、痛いほどわかります。でも、そう言っている間に1年が過ぎ、結局何も残らなかった…というのが僕の過去の失敗パターンでした。
発想を転換しましょう。SNSは「発表会」ではなく、日々の「練習日誌」として使うのです。誰かに褒められるためではなく、未来の自分が「これだけ積み上げてきた」と確認するために使う。そう考えると、投稿ボタンを押すハードルがグッと下がりませんか?
今日の課題:「誰かに見られるかもしれない」緊張感をスパイスにする
自宅での練習はどうしてもダラダラしがちです。失敗しても誰にも怒られないし、何度でもやり直しが効くからです。しかし、この「ゆるすぎる環境」が上達を妨げているとも言えます。
そこでSNSの出番です。たとえフォロワーが0人でも、「ネットの海に放流する」という行為には、独特の緊張感が伴います。「少しでも良く聴かせたい」という欲が出るからです。この適度な緊張感こそが、集中力を高める最高のスパイスになります。
今日の目標は、いいねの数を稼ぐことではなく、ありのままの練習風景を「今日のログ」として保存することです。完成品である必要はありません。ミスのない演奏よりも、泥臭い練習過程の方が、実は見ている人の共感を呼んだりするものです。
やり方:顔出し不要。15秒の「生存報告」でOK
SNS運用といっても、インフルエンサーを目指すわけではありません。あくまで自分のための記録です。以下のルールで気楽に始めてみましょう。
1. インスタのストーリーやX(旧Twitter)を使う
YouTubeにフル尺の動画を上げるのは編集が大変ですが、Xやインスタのストーリーなら15秒〜1分程度で済みます。「今日はここを練習した」という短いフレーズだけで十分です。
2. 顔出しはしなくていい
手元だけ、あるいはギターのヘッドや足元のエフェクターだけ映すのでも構いません。部屋が散らかっているなら、カメラを壁に向けて音だけ録るのもアリです。重要なのは「今日、楽器を触った」という事実を残すことです。
3. 専用のハッシュタグを作る
「#ギター練習」「#今日の練習」といった一般的なタグに加え、「#〇〇の練習記録」のような自分だけのタグを作っておくと、後で検索した時に自分の成長過程が一覧で表示され、ニヤニヤできます。
NG例:「奇跡のテイク」が撮れるまで2時間粘る
SNS疲れを起こす一番の原因は、見栄を張ることです。「上手いと思われたい」という欲が出て、ミスしたテイクをボツにし続け、気づけば2時間も撮影していた…。これでは練習ではなく撮影会になってしまい、本末転倒です。
投稿するのは「一発撮り」か、せいぜい「3回以内のテイク」に限定しましょう。ミスったところもそのまま上げる。「今日はここで指がもつれました。明日リベンジします」とコメントに添えれば、それは立派なコンテンツになります。
完璧な演奏よりも、試行錯誤している姿の方がリアリティがあります。そして何より、そうやって晒したミスは悔しいので記憶に残り、次の練習で改善しようという強い動機になります。
録音して確認→次回:過去の自分が一番の励みになる
こうして溜まった投稿は、あなただけの資産です。3ヶ月後に最初の投稿を見返してみてください。「うわ、リズム悪いな」と思うと同時に、「でも今はこれより弾けてるな」と確実な成長を実感できるはずです。
人間は忘れる生き物です。自分がどれだけ頑張ってきたかを忘れてしまい、「全然上手くならない」と嘆きます。そんな時、過去の動画が「いやいや、ちゃんと前に進んでるよ」と教えてくれるのです。
さて、ここまで練習法、曲の分解、機材整理、資金作り、そして発信と、長く続けるための土台作りについてお話ししてきました。次回はいよいよ最終回。それでもやっぱり訪れる「飽き」や「サボり癖」とどう付き合っていくか。最後に、あなたへのエールとなる生存戦略をお伝えします。

