スマホで音を聞く

スマホで十分。自分の演奏を「客観的に聴く」だけの練習法

自分の演奏を録音して聴いたことはありますか? もし「ある」と答えた人の中に、「聴いて絶望したから、二度とやりたくない」と思った人はどれくらいいるでしょうか。おそらく大半の人がそうだと思います。

録音された自分のギターは、想像していたよりも遥かに下手で、リズムはヨレヨレ、音はペチペチ。まるで公開処刑されているような気分になります。僕も初めて録音した時は、あまりのひどさにスマホを投げ捨てそうになりました。

でも、あえて言わせてください。この「現実を見る痛み」こそが、上達への最短ルートです。高い教則本を買うよりも、高いレッスンに通うよりも、自分の演奏を録音して聴き返すこと。これが無料でできる最強の練習法なのです。今日は、その恐怖を乗り越え、冷静な「耳」を手に入れる方法をお話しします。

今日の課題:脳内補正を外して「現実の音」と向き合う

私たちが弾いている時、脳内では理想の音が鳴っています。プロのCD音源や、「こう弾きたい」というイメージが先行し、実際の自分の音を脳が勝手に美化(補正)してしまっているのです。これを「脳内補正」と呼びます。

録音を聴いて落ち込むのは、この脳内補正が強制的に剥がされるからです。でも、落ち込む必要はありません。録音された音こそが、観客や他人に届いている「本当の音」です。

今日の目標は、自分の演奏を「他人の演奏」だと思って聴くこと。ジャッジするのではなく、医者がレントゲン写真を見るように、「ここはリズムが速いな」「ここは音がビビっているな」と事実だけを確認するのです。この客観視ができるようになると、練習の質が劇的に変わります。

やり方:ボイスメモで十分。3回弾いて1回聴くサイクル

高価なレコーディング機材は必要ありません。手元にあるスマホの標準アプリ「ボイスメモ」で十分です。もしiPhoneユーザーなら「GarageBand」を使えば、より高音質に録れますし、前回紹介したオーディオインターフェイス(iRigなど)を繋げば、プロ顔負けのクリアな音で確認できます。

手順は以下の通りです。

1. 録音ボタンを押して放置する

いちいち録音・停止を繰り返すと緊張してしまうので、録音しっぱなしにします。

2. 同じフレーズを3回弾く

1回目は慎重に、2回目は少し感情を込めて、3回目は実験的に。違うニュアンスで弾いてみます。

3. すぐに再生して比較する

弾き終わったらすぐに聴き返します。ポイントは「自分が弾いていると思わずに聴く」こと。「このギタリスト、ちょっと2拍目が突っ込み気味だな」と他人事のように批評してください。

これだけで、自分の中に「演奏者」と「プロデューサー」という2つの視点が生まれます。「次はもう少しタメて弾いてみよう」という具体的な改善案が出るようになれば、もうこっちのものです。

NG例:「下手だから消す」という証拠隠滅

初心者がやりがちなのが、録音を聴いて「うわ、下手くそ!」と叫び、即座に削除してしまうことです。これは非常にもったいない。

その「下手なテイク」は、あなたの弱点が詰まった貴重なデータです。どこが下手なのか、リズムなのかピッチなのか、あるいは音作りなのか。それを分析せずに消してしまうのは、テストの答案を見ずに捨てるようなものです。

また、「完璧に弾けるまで録音しない」というのも間違いです。練習過程のヨレヨレな演奏こそ録音すべきです。1週間後に聴き返した時、「うわ、先週はこんなに下手だったのか」と笑えるようになれば、それはあなたが確実に成長している証拠だからです。

録音して確認→次回:データが溜まったら「外」に出してみる

録音練習を続けていると、スマホの中にあなたの演奏データ(練習ログ)が溜まっていきます。最初は聴くに堪えなかった演奏も、だんだんと「お、ここは良い感じかも」と思える瞬間が増えてくるはずです。

ある程度「聴ける」テイクが録れたら、それを自分だけで楽しむのは少しもったいなく感じてくるかもしれません。そうです、次は「発信」です。

「いやいや、SNSに上げるなんて恥ずかしい」と思うかもしれませんが、完璧な演奏である必要はないのです。

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