ながら練習

指がもつれる人へ。テレビを見ながらできる「指の独立」体操

ギターを弾いていて、誰もが一度はぶつかる壁があります。
それは、薬指と小指がまったく言うことを聞かない問題です。人差し指と中指はあんなに自由に動くのに、残りの二本はどうしてこうも不器用なのでしょうか。コードチェンジで遅れたり、ソロを弾こうとすると指同士がつられて動いてしまったり。自分の手なのに、まるで他人の手を借りているような感覚に陥ることすらあります。

でも安心してください。これは才能がないからではなく、単に普段の生活でこれらの指を独立させて使う機会がないだけです。神経回路がまだ繋がっていない状態と言えます。今回は、そんな眠っている神経を目覚めさせるための、テレビを見ながらでもできるリラックスしたトレーニングを紹介します。

今日の課題:気合を入れず、リラックス状態で指に神経を通す

多くの教則本には「集中して練習せよ」と書かれていますが、指の独立トレーニングに関しては、あえて少し気を抜くくらいが丁度いいと僕は考えています。なぜなら、真剣になりすぎると身体に余計な力が入り、かえって指の動きが硬くなってしまうからです。

特に薬指と小指は力が弱いため、無理に動かそうとすると手首や肩にまで力が入ってしまいます。これがスムーズな運指を妨げる一番の原因です。目指すべきは、脱力した状態で指先だけに命令が伝わる状態。つまり、指と脳のリンクを確立することです。

好きなバラエティ番組やニュースを眺めながら、手元はおろそかにする。それくらいの「ながら練習」で、無意識下でも指が動くように刷り込んでいきましょう。今日はアンプに繋ぐ必要すらありません。生音でポロポロと、あるいは音を出さずに指を置くだけでも効果は十分です。

やり方:CM中が勝負。単純動作を脳に刻み込むメソッド

具体的なメニューは、極めてシンプルかつ機械的な動作の繰り返しです。音楽的な美しさよりも、スポーツの基礎トレに近い感覚で取り組んでください。

クロマチック練習で指を個別に認識させる

最もポピュラーで効果的なのがクロマチック(半音階)練習です。

6弦の1フレットを人差し指、2フレットを中指、3フレットを薬指、4フレットを小指で押さえます。
これを「1・2・3・4」と順番に弾き、次は5弦、4弦…と1弦まで下がっていきます。

ポイントは、音を出すことよりも指をバタつかせないことです。次の指が押さえるまで、前の指は弦に残しておきましょう。

音を出さない「フィンガー・プッシュ」

テレビの音が聞こえなくなるのが嫌な場合は、ピッキングせずに左手だけで弦を叩く練習も有効です。

ネックを握り、テーブルの上で指をトントントンと順番に動かすイメージで、弦を強めに押さえます。
特に薬指と小指の動きに注目し、他の指がつられて動かないか観察してください。

右手のピッキング耐久ゲーム

左手が疲れたら、右手だけの練習に切り替えます。

開放弦(左手は何も押さえない)を使って、一定のリズムでピッキングを続けます。
16分音符(タカタカ)や、少し難しい5連符などに挑戦し、テレビのCMが終わるまで絶対に止めない、といったルールで遊んでみましょう。

NG例:速さが正義ではない。雑なフォームでの暴走

この練習において最も避けるべきは、スピードを求めることです。BPMを上げて速く弾けたとしても、フォームが崩れていたり、音がブツブツと切れていたりしては意味がありません。

よくある失敗は、指を高く上げすぎてしまうことです。例えば小指で押さえる時に、人差し指が指板から数センチも浮いてしまっている状態。これでは次の動作に移るのに時間がかかり、無駄なエネルギーを消費します。

また、力みすぎてネックを握りしめるのもNGです。親指に力が入りすぎると、他の指の可動域が狭くなります。テレビを見ながら行うメリットはここにあります。意識が画面に向いている分、身体の余計な緊張が抜けやすくなるのです。速さよりも、最小限の動きで効率よく指が動いているかをチェックしてください。

録音して確認→次回:粒立ちは揃っているか、耳でジャッジする

テレビを見ながらのリラックス練習とはいえ、最後は少しだけミュージシャンの耳に戻りましょう。スマホで自分のクロマチック練習を録音してみてください。

確認すべきはリズムの正確さと音の粒立ちです。「タ・タ・タ・タ」という音が均等な長さで鳴っているでしょうか。薬指や小指の時だけ音が小さくなったり、リズムが突っ込んだりしていませんか。その微細なズレこそが、まだ神経が通りきっていない証拠です。

自分の弱点がわかれば、明日のテレビタイムはその指を重点的に鍛えることができます。地味な作業ですが、この独立体操を続けた先には、驚くほど自由に指が動く未来が待っています。焦らず、ドラマのワンクールを見終わる頃には指が変わっていることを信じて続けましょう。

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