ヘッドホンで音を聞く

夜間練習の救世主。「オーディオインターフェイス」導入ガイド

賃貸アパートに住む私たちにとって、夜のギター練習は忍び足で歩くようなものです。アンプの電源を入れるなんてもってのほか。結局、テレビの音量よりも小さな生音で、ペチペチと弦を弾くだけになっていませんか。

これでは、自分が本当に良い音を出せているのか、チョーキングのニュアンスが出ているのか全くわかりません。エレキギターはアンプを通して初めて完成する楽器です。生音での練習は、具のないカレーを食べているようなもの。満足感がないから続かないのです。

そこで導入したいのが、オーディオインターフェイス(A/IF)という魔法の小箱です。これがあれば、真夜中でも誰にも迷惑をかけずに、ヘッドホンの中で爆音のスタジアム・ライブを開催できます。僕の練習環境を劇的に変えた、この小さな救世主についてお話しします。

今日の課題:アンプを鳴らせないストレスから解放される

生音練習の最大の弊害は、変な力み癖がついてしまうことです。音が小さいから無意識に強く弾いてしまったり、サステイン(音の伸び)が聞こえないから音が切れていることに気づかなかったりします。

解決策はシンプル。パソコンやスマホの中にアンプを作ってしまえばいいのです。オーディオインターフェイスは、ギターのアナログ信号をデジタル信号に変換して、PCやスマホに送るための架け橋です。

これを経由して「GarageBand」などのアンプシミュレーターアプリを通せば、ヘッドホンからは高級アンプを通したようなリッチな音が聞こえてきます。外に漏れるのは弦の生音だけ。これなら隣の部屋の住人も気づきません。

やり方:予算と目的で選ぶ「松竹梅」の3機種

いざ買おうとすると種類が多すぎて迷いますが、初心者が最初に選ぶなら以下の3つが鉄板です。自分の財布事情と相談して決めてください。

コスパ最優先なら「BEHRINGER (ベリンガー) / UM2」

とにかく安く始めたいならこれ一択です。プラスチック製で見た目は少しチープですが、ギターを繋いで音を出すという基本機能はしっかりしています。浮いた予算を美味しいお酒や弦代に回したい堅実派におすすめです。

機能と信頼の定番「STEINBERG (スタインバーグ) / UR22C」

予算に余裕があるなら、これを買っておけば間違いありません。音質が良いのはもちろん、頑丈な金属ボディで壊れにくい。「ループバック機能」がついているので、将来的に「弾いてみた」配信をしたくなった時にも対応できます。PCだけでなくiPadとの相性も抜群です。

音質にこだわるなら「MOTU (モツ) / M2」

さらにワンランク上の音質を求めるならこちら。プロもサブ機として使うほど音がクリアで、液晶画面で音量レベルが見やすいのも特徴です。弾いた瞬間の音がそのままスピーカーから出るような、レスポンスの良さに感動します。

NG例:PCのマイク端子に「直刺し」する暴挙

絶対にやってはいけないのが、変換プラグを使ってパソコンのマイク入力端子にギターを直接繋ぐことです。

これをやると「ジーーッ」というひどいノイズが発生するだけでなく、弾いてから音が鳴るまでにコンマ数秒の遅れ(レイテンシー)が生じます。0.1秒遅れるだけでも、演奏するのは不可能です。リズム感が狂う原因にもなるので、これだけは避けてください。

また、アンプのヘッドホン端子を使うのも悪くありませんが、オーディオインターフェイスの強みは「PCやスマホの再生音と自分のギター音をミックスして聴ける」点にあります。YouTubeのバッキングトラックを流しながら、同じヘッドホンで自分のギターを重ねて弾く。この一体感はアンプ単体では味わえません。

録音して確認→次回:クリアな音で自分と向き合う

オーディオインターフェイスを導入すると、練習の質が一変します。リバーブのかかった気持ちいい音に包まれると、時間を忘れて弾き続けてしまうからです。「没入感」こそが、練習を継続させる最強の燃料です。

さらに素晴らしいことに、繋いでいるということは、録音ボタンを押すだけで高音質なレコーディングが可能だということです。スマホのマイクで録ったシャカシャカした音ではなく、CDのようなクリアな音で自分の演奏を聴き返すことができます。

環境が整いました。次は、この環境で使うギターそのものについて考えましょう。新品で買う予算がない? 大丈夫です。中古市場という宝の山があります。しかしそこは魔境でもあります。次回は、中古ギターで「ハズレ」を引かないための目利き術をお伝えします。

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